今年度も大詰めとなり、2025年の東大合格者数TOP5が出揃いました。データは先日私がライブ実況でコラボさせていただいたサンデー毎日さんからの引用です。
(現状まだ筑駒など出揃っていないところはありますが)、現状の結果は下記の通りです。
1位 開成高校(149名)
2位 聖光学院(95名)
3位 麻布高校(82名)
4位 都立日比谷高校(81名)
5位 灘高校(75名)
開成高校が40年連続の合格者数1位を達成した一方で、都立日比谷や麻布の合格者爆増が目を引く結果となりました。
東大合格者の多い学校は、なぜ合格者が多いのか?この記事では、2025年の東大合格者数が多いトップ5校について、深掘りしてみました。
1位 開成高校(149名)
1位は不動の開成高校。
40年連続の1位となっており、「東大合格者1位の高校」のイメージを持っている方も多いでしょう。
本校は東京都荒川区西日暮里に所在し、JR山手線西日暮里駅からは徒歩1分と抜群のアクセスを誇ります。
中学受験においては男子御三家の中でも最上位と目され、筑波大駒場高校に次ぐ偏差に位置する本校はであり、中学受験で300名、高校受験で100名が合流する中高併設混合型の男子校です。
そんな本校は、学習指導において知性・自由・質実剛健を重んじ基礎学力を養成を目指しています。
各教科指導においては教科担当が6年間を見通したプログラムを組み、指導を行っているようです。
また、勉強面においては関東トップクラスが集まる本校においては「質実剛健」の実現のため生徒が主体的に取り組むイベントも多いです。
本校では、運動会、文化祭、学年旅行等の学校行事の多くが、企画立案から準備、当日の実施体制も基本的に生徒によって自主的に運営され、自主的な組織運営を学び合う機会となっています。
様々な意見をお互いに聴きながら、意見の違いを集約して組織を動かしていくためのチームワークとリーダーシップの重要性も体験していくことになるでしょう。生徒会や部活動などの課外活動も大いに奨励しています。多様な運動部、文化部、同好会があり、興味が共通した新しい同好会を作ることも容易で、多様な仲間と飽きるまで自由に没頭できる環境が整っています。
このような機会を通して、ペーパー上の知識だけでない中身まで伴った教育がなされることで東大合格者数でも全国1位の座を堅守することに繋がっているようです。
2位 聖光学院(95名)
横浜市の中でもかなりアクセスのいい神奈川県横浜市中区滝之上に所在する中高一貫のカトリック系男子校で、最寄駅はJR根岸線桜木町駅です。
かねてから中学受験における神奈川御三家とされる名門校ではあったものの、神奈川のトップは長らくライバルの栄光学園であり、本校は栄光に届かなかった子たちの受け皿的存在として知られていました。
しかし、近年目まぐるしい勢いで進学実績を伸ばしてきており、一気に全国有数の進学校にまで駆け上がリマス。
そして、東大合格者数は昨年ついに100人と3桁を記録し、本年も95名とその強さを見せつけました。
そんな本校の強さの秘訣は充実した学習支援体制にあると考えられます。有名進学塾の一流講師に匹敵する指導力を持つ講師が集い、ハイレベルな授業が展開されるといいます。
また、受験一辺倒ではなく情操教育的な指導がなされ、生徒たちが各科目に興味を抱くような自然な動機付けが行われており、中学1、2年時はキリスト教の精神に基づく人間教育や芸術教育などが実施され、国語の授業ではグループでの朗読「群読」を採用しています。
校内の学習環境の面でも朝7時から夜9時まで土日祝日含めてセミナーハウス「ザビエルセンター」を自習室として開放しており、ここでは毎日100人余りの高3生が学習しており、仲間内で教え合う光景もよく見られています。
このように、聖光学院内での教育で成績を伸ばしていく様から、「塾いらずの聖光」とも呼ばれているのだとか。
3位 麻布高校(82名)
東京都港区元麻布というまさに東京のど真ん中に所在し、後者からが六本木ヒルズや東京タワーを望むことができる抜群の立地を誇ります。
私立の完全中高一貫高校で、上記の開成高校、武蔵高校と並び中学受験における「男子御三家」の一つとして有名です。
進学実績に関しては、東京大学合格者数では数十年間TOP10を外しておらず、2025年は昨年の55名から27名増と一気に伸ばし、全国でも3位につけました。
そんな本校は自由な校風で知られ、生徒たちも一筋縄ではいかない曲者ぞろいだといいます。
教師が一言話すと、生徒は鋭い質問を返します。少しでも間違った話をすると、すぐ指摘され、からかわれる、 そんな中で一方通行の授業でなく、常に授業は「ワイガヤ」の双方向での授業が行われています。
また、団塊世代の教師たちが定年退職し若い教師も多い中、「麻布の生徒に尊敬される」教員であろうと、高め合いながら成長して行きます。
普段の授業だけでなく土曜日には「教養総合」では昨年度、初めて「起業」をテーマにした授業が開講されました。
高校生が自ら立案した事業のアイデアをフィールドワークなどを経て練り上げていき、最終的に投資家を前にプレゼンまで行う、本格的なものです。
講師やメンターは、同校OBの起業家たちが務めています。このような取り組みで生徒のキャリア観を刺激していると言われています。
「雇われるではなく雇う側」というのは麻布の校風に非常にマッチしており、近い将来麻布高校出身のベンチャー企業家が続々と台頭するかもしれません。
4位 都立日比谷高校(81名)
東京都千代田区永田町という日本の政治の中心地に位置する都立の共学校で、全国NO.1公立校として名を馳せた本校は昨年東大60名から81名へと合格者数を伸ばし全国4位につけました。
その歴史は長く、前進には旧制府立一中を持ち明治期より旧制一高、東京帝大に優秀な人材を輩出し続けてきました。
現高校名の日比谷高校になってからも1960年代には東大合格者193名を記録するなど全国トップを独走していましたが、学区群制の影響などもあり1990年頃には合格者1桁まで衰退してしまいました。
しかし、近年学区制の廃止や私立中高の高校募集停止の影響もあり息を吹き返し、今年は上記のような素晴らしい成績を残しています。
ここまでの復活を果たした理由は担任団制度により学習指導が大きな要因だといいいます。
学年毎に持ち上がりで同じ担任団で進んで行き、1年生の時から、学習・生活・進路について、励ましながら、意識を高く持たせるための働きかけを行っています。
また、今回ランクインした他の一貫校と違い3年間のみで仕上げる必要があるため、この時期にこの科目をやるという自学習の指針を生徒に文書で示しています。
日比谷の伝統である国英社は早めに仕上げるという伝統に加え、これに基づいて理社に取り組んだ生徒たちが、高3の夏には中高一貫校の生徒に離されないくらいの学力を身に付けるという好循環が2~3年前から生まれてきました。
加えて本校は過去10年間での東京大学推薦入試合格者数ランキングで2位にランクインするなど、学力向上だけでない取り組みも行われているため、非常にバランスの良い取り組みを行っている高校と言えるでしょう。
(本校の推薦入試にまつわる取り組みはこちらの記事を参照。)
5位 灘高校(75名)
言わずと知れた関西ナンバー1進学校で、兵庫県神戸市東灘区に所在する中高一貫の男子校です。
最寄り駅は阪神電鉄本線の「魚崎駅」や、六甲ライナーの「南魚崎駅」です。
関西にとどまらず名古屋〜岡山地域のトップ層が集まる本校は2024年度には東大合格者数ランキング3位にランクイン、本年も75名を記録しました。
また、特筆すべきは日本の大学受験最難関にあたる「理科Ⅲ類」の合格者数で、例年全国トップを記録します。
本年は9名と、例年に比べれば若干低調でしたが、それでも全国トップクラスの数字を叩き出しています。
本校の特徴は生徒たちの能力とそれを伸ばす授業の質にあります。
まず、関西トップ層が入学することに加えその入試問題は、処理能力や理系的なひらめきなど、暗記ではなくその「地頭の良さ」を測る問題が多く出題される傾向にあります。
このようにして集められた生徒たちは神童揃いで、サボってしまいがちな一貫生もその馬力でなんなく東大に合格してしまいます。
また、質の高い授業実践を支えているのが、本校独自の「担任持ち上がり制」です。
原則として8人の教員で担任団を構成し、中学校入学から高校卒業までの6年間の授業を受け持つことで、一貫性や効率性を担保しながら学びを深めていきます。いわば、生徒の学びや成長に伴走し続ける一つのチームなのだと言います。
?位 筑波大学附属駒場高校(?名)
現状結果が報告されていないものの、絶対にトップ5にこれから入ってくるであろう筑駒の紹介もしておきます。
筑駒こと筑波大附属駒場は、世田谷区池尻に所在する国立校で併設混合型中高一貫校の男子校です。
最寄りは「駒場東大前駅」と、東京大学進学にあたっては最高の立地であり、本校から東京大学駒場キャンパスまでは徒歩10分程度。
その立地と東大合格率の高さから、「東大附属」とまで呼ばれることもあります。
本校は中学受験偏差値では、上記の開成高校を上回り関東最上位に位置しており、今回惜しくも6位だった兵庫県の灘高校と並ぶ日本トップ進学校の1つとされています。
そんな本校は今年も東大合格者数x人でx位にランクインしましたが特筆すべきはその合格率です。
卒業者数は例年160名前後ですので、なんと学年の約x%が東大に進学していることになり、例年「東大現役進学率」ではトップをひた走っています。
本校は上記の通り中学受験でトップ層が集まり、本物の「天才」が多くその門をくぐる中で、その才能を生かす教育が行われています。
当然各教科の授業ではハイレベルなものが展開されますが、特徴的なのは「特注黒板です」。
生徒が自分の考えや意見をたくさん書き込めるように、各教室には教室の端から端までの広さの特注の黒板を設置しています。
分からないことは分からないとはっきり意思表示しますし、授業が終わっても、理解できるまで繰り返し質問に来る生徒も少なくない状況で、「分かる」ことへのこだわりを持つ生徒が多いようです。
また、「筑駒アカデメイア」公開講座やワークショップが開催されています。
国立大学の附属校には、地域のモデル校となるような先導的教育の取り組みをすることがミッションの一つとして示されています。
その一環に地域貢献があり、07年度から世田谷区との共催で筑駒アカデメイアが始まりました。
アカデメイアでは、小学生を対象に本校の教員と中学科学部・高校化学部の生徒が実験教室を開催したり、筑波大と本校の教員が学校周りの樹木について解説したりする講座もあります。
学びを還元するには高いレベルの理解が不可欠ですので、そのような意味でも上記の取り組みは筑駒の圧倒的な現役合格率に寄与しているようですね。